
モード崩壊は、生成モデリングにおける継続的な課題であり、自己回帰的なテキスト生成においては、明示的なループから、多様性の段階的な喪失、さらには生成軌道の早期収束に至るまで、さまざまな形で現れる。本研究では、力学系の観点からこの現象を捉え直し、モード崩壊を、幾何学的崩壊によって状態空間の到達可能性が低下する現象として再解釈する。すなわち、生成の過程で、モデルの内部軌道が表現空間内の低次元領域に閉じ込められていくという見方である。
この見方は、モード崩壊が単なるトークンレベルの現象ではなく、記号的制約や確率のみに基づくデコーディング・ヒューリスティックだけでは安定的に解決できないことを示唆している。この観点に基づき、本研究では Reinforced Mode Regulation(RMR)を提案する。RMR は、Transformer の value cache における支配的な自己強化方向を制御する、軽量かつオンラインな状態空間介入手法であり、低ランク減衰として実装される。複数の大規模言語モデルを用いた実験において、RMR はモード崩壊を大幅に抑制し、標準的なデコーディングでは通常 2.0 nats/step 付近で崩壊が生じるのに対し、0.8 nats/step という極めて低いエントロピー率でも、安定した高品質な生成を可能にすることを示した。
参考文献
Du, X., and Tanaka-Ishii, K. Escaping Mode Collapse in LLM Generation. Accepted to the Forty-Third International Conference on Machine Learning (ICML 2026), to appear in July 2026.